「ユニクロ」の1号店を広島市に開いたのが84年。当時はたんなる「カジュアルショップ」だった。91年に店舗数が22店に達したとき、将来の多店舗展開に備えて組織や情報システムを見直した。98年の今回は「カジュアルチェーン」から「カジュアル産業」への変革といっていいだろう。本部による集中管理では息詰まると気づいたのは、新業態である「スポクロ」「ファミクロ」の失敗がきっかけだった。ふつうは恥ずかしいことだ。いったんはじめたことを、1年もたたないうちにやめてしまうのだから。しかし、おかげで解決しなければならない問題が、店舗という外側の箱ではなく、内部の仕組みにあることがわかった。98年初めから、全社をあげて個店対応に取り組んでいる。一部の店舗で成果が上がっているが、ぼく自身は、まだ甘いと思う。店舗は自分の頭で考え、「この商品のここが問題だ」「販売計画のここがおかしい」と、本部にもっと意見をいうべきだ。本部が一方通行で商品を流すのではなく、売れたものをいかに早くつくるかに転換する。究極的には、売る人が次にどのような商品をつくったらいいかわかるようにならなくてはならないし、逆につくる人は、次にどのような商品をどう売っていったらいいかわからなければならない。ただ個店対応といっても、「いつでも、どこでも、誰でも着られるベーシックなカジュアル衣料を、市場最低価格で継続販売する」というユニクロの原則からは絶対にはずれないようにする。当然、人件費などの経費も従来どおり低く抑える。個店対応を軌道に乗せられるかどうか。来年が正念場だ。
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